• ミドル脂臭の原因成分ジアセチルへの感受性は人によって大きく異なることを発見
  • 世界をリードする最先端分析技術で体臭関連成分の網羅的解析に成功
  • 世界初!ミドル脂臭の原因物質「ジアセチル」を特定
  • 日本人の腋臭(ワキ臭)は7タイプに分かれることを発見

世界をリードする最先端分析技術で
体臭関連成分の網羅的解析に成功

世界をリードする最先端分析技術で体臭関連成分の網羅的解析に成功
特定のワキ汗成分からワキのニオイタイプを分類する手法を開発

マンダムは、慶應義塾大学発のベンチャー企業であるヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社との共同研究により、ワキの汗をメタボローム解析(※1)し、300 以上のワキ汗成分を検出することに成功しました。さらにこの成分の中には、ワキのニオイタイプに影響すると考えられるワキ汗成分が複数存在することを発見しました。さらに、特定のワキ汗成分の量を測定するだけでワキのニオイタイプを分類できる可能性を見出しました。
なお、本研究に関する学術論文「ヒト腋窩汗(えきかかん)のメタボローム解析における腋臭タイプ特異成分の解析」は、日本味と匂学会第45回大会(平成23年10月開催)において『論文賞』を受賞しました。

研究の背景

ワキ臭(腋臭)の発生メカニズム解明への取り組み

ワキ臭は、汗や皮脂が皮膚常在菌により代謝・分解されることで発生しますが、その発生経路は複雑で、数多くの代謝成分がワキ臭の発生に関わっています。そのため、ワキ臭は多数のニオイ成分が混ざり合い、結果として様々なワキ臭タイプが存在します。防臭効果の高いデオドラント製品を開発するためには、ワキ臭タイプ別の発生メカニズムを正確に解明することが重要です。そのためにはニオイを発生させる原因となるワキ汗成分を、ワキ臭タイプ別に網羅的に解析し、それぞれのワキ臭タイプに特異的な原因成分や、どのような過程を経てそのニオイが発生するのかを探索することが必要です。
マンダムでは、2006年に日本人男性118 名(18 歳~63 歳)を対象にワキの臭気評価を行い、ワキ臭が主に3 タイプ(A 型:酸っぱいニオイ、C 型:カレーのスパイス様のニオイ、M 型:ミルクっぽいニオイ)に分類できることを明らかにしています。
そこで、高感度、高分離を特徴とし、病態のバイオマーカー探索などの研究に応用されているCE-TOFMS(※2) を、ワキ臭の解析に応用し、ワキ臭タイプ毎に採取したワキ汗の成分をメタボローム解析することで、ワキ臭の発生メカニズムの解明を試みました。

研究成果

新規のワキ汗成分を発見!さらにワキ臭タイプによって特徴的に含まれるワキ汗の成分を特定

臭気評価で分類した各ワキ臭タイプ(A 型:酸っぱいニオイ、C型:カレーのスパイス様のニオイ、M型:ミルクっぽいニオイ)を持つ日本人男性のワキから汗を採取し、CE-TOFMS を用いたメタボローム解析を行いました。なお、本研究では、日本人男性に多いことがわかっているA型、C型、M型を比較解析し、ニオイ強度、不快度の高いA型、C型のワキ臭に関連する成分を解析しました。
ワキ汗を採取し、メタボローム解析した結果、有機酸やアミノ酸を含む300以上の成分が一斉に検出されました。また、これらの成分を詳細に解析した結果、各ワキ臭タイプに特徴的なワキ汗成分がA型には4成分、C 型には20成分存在することが明らかとなりました。この成分の中には、すでに報告されているワキ臭の原因成分だけでなく、未だ報告されたことのない新たなワキ汗成分も多数含まれており、これらの化合物についてもA型、C型のワキ臭の発生に関与している可能性が示唆されました。


特定のワキ汗成分を測定するだけでワキ臭タイプの分類が可能に

A型、C型のワキ臭のマーカー成分の探索を目的として、疾患のバイオマーカー検出などに利用される統計解析手法の一つである決定木解析(※3)を行った結果、特定のワキ汗成分(No.110, No.030)の量によって精度良くワキ臭タイプを分類できることが明らかとなりました(※図)。ワキ汗成分(No.110, No.030)は、C型やA型のワキ臭発生に関係するキー成分であると考えられます。これまで、ヒトの嗅覚による臭気評価をもとにワキ臭タイプを分類していましたが、特定のワキ汗成分の量を測定することで、個々のワキ臭タイプを分類できることが示唆されました。

総括

本研究は、体臭の原因となる「汗」も「血液」や「尿」と同様に代謝により産生されるものであるという観点から、ワキ臭タイプ毎に特徴的なワキ汗成分を網羅的に解析したものです。各ワキ臭タイプに特異的なワキ汗成分やニオイ発生経路の解明に繋がる研究です。また、体内ではなく体外の皮膚上の代謝物についてもメタボローム解析が可能であることを示した初めての研究報告でもあります。

※1メタボローム解析とは・・・メタボロームとは、血液、尿、細胞内などに存在する有機酸やアミノ酸といった代謝物質の種類や量を網羅的に解析する手法です。代謝物質は食事・疾患・薬物摂取などの影響を受けやすく、どの動的変化を表現するのに適していることから、近年、薬物動態解析や疾患マーカー探索などで非常に注目されている研究手法です。

※2 CE-TOFMS
特にイオン性物質の分析に多大な力を発揮するキャピラリー電気泳動(CE)で短い分析時間と高い分離効率を実現しながら、飛行時間型質量分析(TOFMS)により精密分子量および分子構造の情報を得ることができます。この手法は、約30分の分析時間で、1000 種類以上のイオン性物質を解析することができ、代謝物など複雑なサンプルマトリックス中の成分分析には非常に適しています。

※3 決定木解析
複数のグループの中から予め指定した特定領域にグループ分けしたい場合に、複数の変数から、最適な変数を決定し、分類する方法です。疾患のバイオマーカー探索などに応用される統計解析手法の一つです。