• ミドル脂臭の原因成分ジアセチルへの感受性は人によって大きく異なることを発見
  • 世界をリードする最先端分析技術で体臭関連成分の網羅的解析に成功
  • 世界初!ミドル脂臭の原因物質「ジアセチル」を特定
  • 日本人の腋臭(ワキ臭)は7タイプに分かれることを発見

世界初!ミドル脂臭の原因物質「ジアセチル」を独自の手法で特定

世界初※1、ミドル脂臭の原因成分「ジアセチル」を独自の手法で特定。
さらに、フラボノイド含有植物エキスにジアセチル抑制効果があることを解明。

30~40歳代のミドル男性における不快な脂っぽいニオイ「ミドル脂臭」の原因成分が、頭部とその周辺から発生する「ジアセチル」であることを、独自の解析手法により世界で初めて明らかにしました。また、ジアセチルは、表皮ブドウ球菌などの皮膚常在細菌が汗に含まれる「乳酸」を代謝することで発生することを解明するとともに、数種のフラボノイド含有植物エキスが、皮膚常在細菌の「乳酸」を代謝する働きを妨げることで、ジアセチルの発生を効果的に抑制することを発見しました。 ※1: 2013年11月18日現在

研究の背景

近年、気候の温暖化や節電などの影響により、日常的に汗をかく機会が増え、生活者の体臭に対する意識が年々高まるとともに、「スメハラ(スメル・ハラスメント)」という言葉が発生するなど、体臭が個人の悩みや問題だけではなく、生活者の QOL(quality of life)を損なう社会的な問題にまで発展しています。マンダムではこれまで、男性の体臭に関する研究を積み重ねてきましたが、今回、特に生活者の意識が高い「ミドル男性特有の体臭」について詳細に解析し、原因となるニオイ成分の特定と、それを効果的に抑制する技術の開発に取り組みました。

コラム

最初に「ミドル脂臭」の存在に気づいたのは、
スポーツ施設の更衣室だった!

マンダムの研究員のひとりが、サークル活動としてフットサルをやっていた時に、60代の方たちと体育館や更衣室で一緒になると、加齢臭の原因物質である「2-ノネナール」特有の臭いを感じていました。しかし、40代くらいと思われる方たちと一緒になった場合は、「2-ノネナール」のニオイをほとんど感じないが、何か別の特徴的なニオイを感じました。そのような実感を伴う経験から、「2-ノネナール」とは違う成分があるのではないか?という仮説に至り、「40代特有のニオイの成分」を探索する研究がスタートしました。

調査・研究方法

1.男性の体臭に関する意識調査
調査対象者 10歳代~60歳代の日本人男女1,200名
調査時期 2008年7月
調査方法 インターネットによるアンケート調査

2. 頭部の官能評価
試験時期 2009年7月~8月
被験者 健康な日本人男性26名(20歳代:16名/40~50歳代:10名)
評価項目 臭気強度(6段階)、および、臭気タイプ(8タイプ)
評価者 マンダム技術開発センター 体臭専門研究員(臭気判定士を含む) 4名
評価部位 ・頭部4部位(洗浄24時間後)
     ・枕カバー(1週間使用後)

研究成果

加齢臭ではない?! ミドル男性に発生する体臭「ミドル脂臭」と、 その原因成分「ジアセチル」を特定

生活者が感じているミドル男性の体臭

「男性の体臭に関する意識調査」では、約半数の生活者が、30~40歳代男性に体臭の変化を感じていました(図1)。これまで、一般に知られる加齢臭成分「2-ノネナール」の発生が顕在化するのは50歳代以降である事が知られており、一般生活者の認識とはギャップがあることが分かりました。この結果は、すでに知られている加齢臭とは異なるニオイ成分がミドル男性の体臭に関与している可能性を示すものでした。また、同調査で、「男性の体臭の変化を感じる部位」を調査した結果、頭部とその周辺で体臭の変化を感じる生活者が多く、特に女性において、その傾向が顕著でした(図2)。

ミドル男性特有の「脂(アブラ)臭」と、その原因成分「ジアセチル」

そこで、臭気判定士を含む嗅覚専門の研究員により、実際に40~50歳代男性の各部位のニオイ強度を嗅覚測定した結果、頭部のニオイが最も強く、一方、加齢臭の発生源と言われていた「耳の裏」のニオイは弱い事が明らかとなりました(図3)。さらに、40~50歳代男性の頭部のニオイ特性(ニオイの質)を、20歳代男性と比較した結果、40~50歳代男性の頭部及び枕は、20歳代男性に比べて強い「脂(アブラ)のようなニオイ」であることが確認されました(図4)。

この「脂(アブラ)臭」の原因成分をつきとめるため、40~50歳代男性の頭部や枕からニオイ成分を抽出し、解析した結果、その原因成分が「ジアセチル(diacetyl)」であることを特定しました(図5)。この成分の、頭部における発生量と年齢との関係を調査した結果、40歳を中心に「ジアセチル」の発生量が多く、20~40歳間では年齢とともに増加する傾向にあることがわかりました(図6)。この増加傾向は、生活者が体臭の変化を認識する年代と一致し、頭部で増加する「ジアセチル」が、ミドル男性特有の体臭の原因成分である事を裏付ける結果となりました。

マンダムでは、この「ジアセチル」に起因するミドル男性特有の「脂(アブラ)臭」を
40歳代を中心としたミドル男性の主要な体臭として、「ミドル脂臭(ししゅう)」と名付け、
その原因成分ジアセチルを抑制する技術の開発に取り組みました。

ミドル脂臭の原因成分「ジアセチル」の発生メカニズムを解明し、その抑制技術を開発

ミドル脂臭の原因成分「ジアセチル」の発生メカニズム

ジアセチルの発生を効果的に抑制する技術を開発するため、皮膚上におけるジアセチルの発生原因となる汗中の成分と皮膚常在細菌の特定を試みました。汗中の代謝成分と、皮膚常在細菌を混合培養し、ジアセチルが発生するメカニズムを解析した結果、皮膚上の主要細菌である「表皮ブドウ球菌」、「黄色ブドウ球菌」が汗中の「乳酸」を取り込んで代謝し、ピルビン酸、アセトインに変化する過程を経て、悪臭を放つジアセチルがつくり出される事が明らかとなりました(図7,図8,図9)。

フラボノイド含有植物エキスが「ジアセチル」の発生を抑制

次に、ミドル脂臭の原因となるジアセチルを効果的に抑制する素材の探索を目的として、102種類の植物エキスのジアセチル抑制効果を評価した結果、カンゾウ、ケイヒなど、フラボノイドを含有する数種の植物エキスが、皮膚常在細菌によるジアセチルの発生を効果的に抑制することを発見しました(図10)。これらの植物エキスの効果は、菌数の減少を伴わないことから、殺菌効果によるものではなく、ジアセチルの発生に関連する代謝を妨げることで、ジアセチルの発生を抑制する可能性が示されました。そこで、植物エキスがジアセチルの発生する過程において、どのような影響を及ぼしているかを確認した結果、乳酸からピルピン酸へ代謝されるスピードを遅らせ、菌体内への取込みも抑制させることを見出しました(図11-1,11-2)。 この結果から、これらのフラボノイド含有植物エキスがジアセチルの発生を抑制する効果は、乳酸からピルビン酸への代謝を抑制によるものであることが明らかとなりました。

総括

今回の研究成果により、ミドル男性の体臭の実態が明らかになりました(図12)。これまで知られていた、ワキのニオイを中心とする汗臭(ワキ臭)、50歳代以降顕著化する加齢臭の他に、「ミドル脂臭」というミドル男性の主要な体臭の存在が明らかになり、ミドル男性の体臭変化を正確に理解するとともに、適切かつ効果的な対処が可能となりました。